『ブラック・レイン BLACK RAIN』

 旦那が「『ブラック・レイン』を観たい」と言ってきた。

 タイトルは聞いたことがあったけれどもそれが一体どういう内容なのかを知らなかった私は、てっきり戦争映画かと思った。戦争映画を一緒に見ようよ、と誘ってくるあたり、さすが我が旦那、と感心したのだが、違った。

 

ブラック・レイン』はハリウッド映画だ。黒い雨、といえば原爆を思い浮かべるが、戦争中心ではなく日本のやくざを中心に話は展開する。ニューヨーク市警の刑事二人が、目の前で人を殺した暗殺者を日本に護送するところから話は始まる。

 日本警察の組織捜査のやり方や大阪の暗黒街の映像が、日本らしさがよく出ていて「これ本当にハリウッド映画?」と驚いた。高倉健さんの実直な感じも素敵だし、なにより松田優作さんの演技の迫力が凄すぎる。

 知らなかったのだが、松田優作さんは撮影当時すでに癌に侵されていて、この映画撮影の後にお亡くなりになった。つまり、最後の作品なのである。だから、とても痩せていて、それがまたやくざの凄みを作り出しているのだと思う。もし現在もご存命だったら、と思うと本当に惜しい人を亡くした。

 

 こういう映画をいまのハリウッドで作れるか、と考えると難しいと思う。この映画のように日本でのロケをできるのかと考えるとなかなか許可が出ないだろうし、ハリウッドが期待する売り上げを上げることができるのかという点で、作りたがる人は少ないと思うからだ。けれど、私としてはこういう日本の暗部を見せてくれる映画を、アメリカが作るのは面白いし観てみたい。

 

 

ブラック・レイン [DVD]

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『本格小説』水村美苗

 初めて本書の存在を知ったのは、高校の模擬テストだった。

 私が通った高校は、岡山の進学高だ。大学受験にかなり力を入れている学校で、高校三年生にもなると、毎日のようにセンター試験や大学受験の対策で模擬テストを受けていた。模擬テストも出版社が発売しているのではなく、学校の先生たちが作り上げた問題だったので、国語のテストは少し楽しかった。

 ある日の国語のテストで、水村美苗さんの『本格小説』の一部分が使われていた。その一部分がどの箇所だったのか忘れてしまったけれども、抜粋の最後に書かれていた書名と著者名はきっちり覚えていた。

 少し経って書店で本書を見つけたとき、お金に少し困っていたけれども「いま買わなければいつ買うのだ!」と一大決心し、購入するに至った。

 

 新潮文庫の上下巻の本書は分厚く、読むにはかなりの覚悟が必要だった。本書を読み始めたら他の本を手に取ることは、当分先になることが予想されたからだ。えいやっと読み始めると、覚悟した通り数日間はずっと本書に夢中になって、読み終えた後の虚脱感が凄かった。魂半分、どこかへいってしまったかのようだった。

 本書はニューヨークで大金持ちになった東太郎という人物の恋愛小説だ。昭和の優雅な階級社会生まれのよう子への、深い深い思慕。その二人を中心に、没落していく一族。それを著者の視点、著者へ会いに来た青年の視点、そしてその青年に話聞かせた冨美子の視点で描かれる。

 その時代を知らないのに、軽井沢には行ったことがないというのに、まるで知っているかのように感じさせる著者の力量に感服する。綺麗だけではない、埃と息づかいを感じる小説だった。誰かを愛する、ということの苦しさを描き切った本書が、これこそが本格小説なのだと訴えるのだ。

 

 いまでも思うのが、よくこの小説を模擬テストの小説に選んだな、ということだ。私が本書を読み終えたのは大学受験を終えた後だったから良かったけれど、もし受験中に本書を読み始めてしまったら、と思うとぞっとしない。きっと試験勉強そっちのけで、読みふけっていたと思う。そして、魂半分、どこかへいってしまうのだ。

 愛することは、難しい。

 

本格小説〈上〉 (新潮文庫)

本格小説〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 

本格小説〈下〉 (新潮文庫)

本格小説〈下〉 (新潮文庫)

 

 

『あなたの家計が元気になるこれからのお金学』方波見寧

 方波見寧さんの著書を初めて読んだのは、いまから八年前。『公的年金が当てにできない世代の「自分年金」のつくりかた』というタイトルの本を図書館で偶然見かけ、当時お金に困りつつ将来にも不安があった私は借りて読むことにした。その本は現在手元にないので詳しい内容は覚えていないのだが、衝撃を覚えたことはよく覚えている。ただ単純に貯金するだけでは駄目なのだ、と深く考えるようになった。

 方波見寧さんの他の著書も読みたいな、と思い、少し古い本ではあったけれども『あなたの家計が元気になるこれからのお金学』を購入した。

 

 この本は、投資をすることで将来のお金に困らないようにする方法を紹介しているが、それだけではない。私の親の世代を見ていると、車に家、保険と当たり前のように購入し、借金を返済している。それが当たり前だと思っていた。けれど、これからの経済状況では、その当たり前を続けていれば豊かな生活ができないということを、具体例をあげながらわかりやすく書かれている。

 いままでの保険のイメージも、本書のわかりやすい説明を読むと、がらりと変わる。生命保険や死亡保険で儲けよう、家族にお金を残してあげよう、という考えを実践しようとすると、それは難しいことなのだと本書を読んで考え方が変わった。住宅の購入だって、借金して当たり前だと思えたが、将来設計をきちんとしなければ自己破産してしまうかもしれない可能性をはらんでいるのだと知った。

 本書が出版されたのが2010年なので情報は少し古いのが難点だが、それでも家計を考える上で著者の考え方は重要だと思う。1円を大切にする生活を、しっかりやっていきたい。

『GREATEST HITS 2011-2017 "ALTER EGO"』EGOIST

 EGOISTの曲に強烈に惹かれたのは、アニメ『ギルティクラウン』で歌われた「エウテルペ」だった。寂しく祈るような曲調が、とても素敵なのだ。

 私が『ギルティクラウン』を観たのはレンタルで、放送してからかなり後になってからだ。噂で「歌がいいアニメ」と聞いていたので、それ目当てでの視聴だったから、まさかこんなに自分の心を惹く曲が聴けるとは思ってもみなかった。

 EGOISTは『ギルティクラウン』に登場する架空アーティストグループなのだが、アニメが終わった後も活動を続けている、ちょっと不思議なグループだ。バーチャルと現実を内包しているのもまた魅力の一つに思う。『ギルティクラウン』が終了した後も曲をリリースし続け、私の好きな他のアニメもタイアップしている。

 

「ベストアルバムが出たら絶対に買おう」と心に固く誓っていた。それが去年発売されていたらしく、つい最近になってその事実を知り、先日ようやく購入した。このアルバムにはタイアップ曲がほとんどを占めていて、私が好きな曲が全部入っていたので、購入できてとても満足している。

「Door」「Ghost of a smile」「リローデッド」の三曲は、伊藤計劃さんの小説をアニメ映画にしたときの主題歌だ。映画のPVを観たときにこれらの曲を聞いて、「これらの曲をフルで聴きたい」と切望していたので、フルで聴けて幸せ。

名前のない怪物」はアニメ『PSYCHO-PASS』のエンディング、そして劇場版の主題歌で使われた曲だ。『PSYCHO-PASS』が好きなのもあるし、曲のカッコよさと不気味さが、アニメととても合っていて、良い。

 そしてやっぱり嬉しいのが「エウテルペ」。シングルを持ってはいるが、それでもベストアルバムにちゃんと収録されているのが、すごく嬉しい。

 

 しばらくはこのアルバムを堪能する毎日が続くと思う。それくらい、EGOISTの曲に思入れがあるし、好き。chellyの歌声がカッコイイのだ。

 

GREATEST HITS 2011-2017“ALTER EGO

GREATEST HITS 2011-2017“ALTER EGO"(通常盤)

 

 

『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』池上彰・佐藤優

 実家・岡山に帰るタイミングで、大抵シンフォニービルのロビーで古本市が開かれている。古本市って、本好きな私には見ているだけで楽しくなれる特別な空間。だから古本市が開けれていれば、いつも楽しく古本を見て休日を謳歌する。

 この間の休日にも古本市が開かれていたので、楽しく書棚を見て回った。ただ、今回はそこで新書を買おう! と心に固く誓っていたので、漠然と見るのではなくて真剣に書棚を漁った。

 なぜ新書を買おうと誓っていたのかというと、新書が読みたかったから。それと、新書を定価で買うにはお財布事情的に限界があるからだ。「新書を古書で買ったって情報が古臭すぎるんじゃないか?」と考える人もいるだろうけれど、私はそうとは思わない。確かに、政治や経済の最新の情報をもとに書かれているものは、発売されたタイミングで読むほうが現実で役に立つだろう。けれど、少し前はどのように考えどのように分析していたのか、という視点で読むことで、自分のものの考え方を鍛えることができると思うのだ。

 だから古本市で五冊ほど新書を買った。いつ全部読めるかはわからないが、楽しみながら読み進めたいと思う。

 

 その古本市で買った一冊が、池上彰さんと佐藤優さんの対談形式で書かれている『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』だ。この新書が発売されたのは2014年でアメリカはオバマ政権のとき。今から約四年前の新書だ。発売されたとき、この新書を読みたい! と切望したのだが、当時金欠でかつ精神的に疲労していたので、結局買えなかった。だから、古本市で発見したとき、即購入することを決めた。

 インテリジェンスの磨き方、と副題が付いているが、磨き方を具体的に書いているのは第8章で、それ以外は世界情勢をこの二人はどのように見ているのか対談している。だから副題目当てでこの新書を購入した人は拍子抜したんじゃないか? と心配してしまう。私はこの二人がどのように世界情勢を読み取り分析しているのかが気になっていたので、とても楽しく勉強させてもらった。

 そしてやっぱり思うのが、宗教と民族を知ることが、これから先を深く理解するのに欠かせない知識なのだということだ。「歴史を勉強しましょう」と言われ学校教育で勉強するだけでは、とてもじゃないが全然足りない。自分の知識の足りなさを、この二人の対談から思い知らされる。

 

 今現在でも問題になっているISの問題や北朝鮮問題、最近緊張感が増しているウクライナ問題も、この新書では取り上げられている。私たちはいまこの世界が「嫌な時代」なのだということを、もっと認識して物事を見ていなければならないと思う。

 

 

来年度の手帳

 来年度の手帳の販売が、大々的に始まった。

 大学生のとき、鳥の絵柄が可愛い手帳があって、それを愛用していた。しかし、いつかの年に少々様式が変わってしまって使いにくくなり、変えることとなった。

 次の年に選んだのが、キャラクター手帳。使いにくくなった鳥の手帳に近く、当時の自分に必要最低限の機能があって、少々可愛すぎるという欠点があったけれど使い続けた。

 けれど、だんだんとその手帳だけでは物足りなくなり、三十も超えるとキャラクター手帳というのも恥ずかしくなり、変えることにした。

 

 手帳選びは、お気に入りがベストなときはとても楽だ。毎年同じメーカーのものを買えば、まずはハズレがない。けれど、そこを変えて新しいものを、となるとかなり悩む。去年はそれでかなり右往左往した。なかなか自分の望むことが記入できる手帳って、ないもんなのだ。

 去年、自分が手帳に期待したことは、主に三つ。一つは日々の仕事と生活の簡単なメモができること。これは毎年の手帳に求めていることで、細かく大量に書く必要はなく、単純なメモ書きができれば良い。一月が見開きで簡単に見えるればそれでいいのだ。

 二つ目は、カラー印刷であること。人によってはカラーは嫌だ、という人もいるだろうが、私は逆にカラーじゃないと嫌。なぜかというと、無地は書く気力が湧かないのだ。カラー印刷で可愛らしい雰囲気の中に、自分の日程を書く。それが楽しくて、手帳をちゃんと使おうと思う。つまりは、私は面倒臭がりで、記入する楽しさがないと手帳で日々の管理ができないズボラさんなのだ。

 そして最後の一つが、物を書くモチベーションを保ってくれること。三十年生きてきてこのモチベーションを保つことに、とても苦労している。なんたって面倒臭がりでズボラな性格だ。年明けて毎年「よし、来年こそはガッツリ書きまくって頑張るぞ!」と意気込むくせに、気が付いたらそういう気持ちを忘れて無為に日々を過ごしてしまうのだ。だから、このクセとも言える私を律してくれる、便利な手帳を探し続けていた。

 

 この望みに適した手帳を、去年発掘した。それが、クーリアの出している「両立手帳」だ。売り文句に「こなせない私脱計画!」と書いてあるのに、ビビビときた。「こなせない私に必要なのは、これだったんだ!」と歓喜し、約一年使ってみた。

 使ってみた感想として、私の期待に応えてくれるいい手帳だった。日々の簡単なメモができるし、物を書いたらその記録がつけられる。なにより大切なのがカラー印刷で可愛らしい。手帳の柄も、年齢的に持っていて恥ずかしいなんてこともない。私の期待オールクリア!

 なので、今年もこの手帳を買った。柄はいろいろあるが、柴犬の柄にした。柴犬、好きなんです。今年も残す所あと少し。早速新しい手帳に移行しつつ、来年へ自分をもっと進化させるため、この手帳を使い込みたい。

石原明『すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは〈三人称〉で考える。』

 ビジネス書を読むのが好きだったりする。何が好きかっていうと、「なるほど仕事ができる人ってこんなことを考えているんだ」「こういう方法で仕事をしたらいいんだ」と、なにかしら発見があるのが好きなのだ。その発見を参考に自分の仕事の仕方を模索したりすることはほとんどないのだけれど、ちょっとした頭の体操のようなもので、仕事をもっと上手にしていこうと前向きな気持ちになれる。

 だから、仕事に行き詰まったなと思うときは、パラパラと簡単に読めるビジネス書を読むことにしている。

 

 今回読んだビジネス書は石原明さんの『すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは〈三人称〉で考える。』。2012年に出版された本で、ずっと書棚に積まれていたのを発見したのだ。

 この本で重要視されているのは、どの目線で物事を捉えるのか、ということだ。本書はビジネス書なので、仕事をする上でどのように考え行動することが効果的なのか、というポイントに絞っているけれども、仕事以外でも重要な考え方だと思う。例えば家族関係や友人関係、恋人関係だったり。相手の目線に立つということ、今だけでなく未来を見据えて行動すること。この二点はよりよい人間関係の構築に欠かせないポイントだ。

 そのポイントをわかりやすい言葉で表現するとしたら、〈三人称〉ということになる。目指すべきは三人称で満足するのではなくて、四人称、五人称と視野をどんどん広くしていく努力をし続ける姿勢。本書はつい怠けてしまう自分の脳みそに、いい刺激になった。

 ただ少し物足りなかったのは、例えばが少なかったこと。言葉の上で「こうしたらいいよ」と書かれるよりも、「こういう事例のときはこういうふうに考えたらいいですね」としてもらったほうが、イメージが湧きやすかったなと思う。

 

すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは、〈三人称〉で考える。

すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは、〈三人称〉で考える。