中島美嘉『朧月夜〜祈り』

 音楽に興味を覚えたのが中学生から高校生のときで、一所懸命にお小遣いを貯めては漫画や文庫を買うと同時に、CDも買っていた。だから私の青春は音楽がいつも鳴っていて、姉妹に「うるさいっ!」と怒られまくっていた。

 そんな青春時代に買うCDはアルバムが多かった。なんたって予算は限られていたのでね。けれど、ミニアルバムを買ったことがある。それは、中島美嘉さんの『朧月夜〜祈り』だ。

 このミニアルバム、あのバイオリニストで有名な葉加瀬太郎さんと一緒に作った一枚なのだ。当時の私の中では、中島美嘉さんの歌声にバイオリンの音色だなんて、なんて魅力的! という印象で、普段は買わないミニアルバムを手に速攻レジに向かった。

 

 中島美嘉さんの曲を知ったのは「雪の華」が最初だった。曲がランキング上位にいるときに知って、ちょうどタイミング的に年末の歌番組でバンバン歌われていた。寂しいメロディーなのに別れの曲ではないことが、私には新鮮に思えた。それに、彼女の歌声は、私には真似できないな、と思った。彼女にしか歌えない曲、とでもいえばいいのだろうか。裸足で踏ん張るように、一生懸命に歌っていた姿を、いまもしっかり覚えている。

 「雪の華」がリリースされたあとに発売されたアルバムはもちろん購入して、その後にどんな曲が来るのだろう? とワクワクしていたときに出てきたのが、この『朧月夜〜祈り』だった。

 

 無知だったので、「朧月夜」が唱歌だったことを知らなかった私は、このミニアルバムを聴いて、こんな素敵な音楽があるんだ! と驚いた。歌詞が綺麗な言葉で綴られていて、その歌詞を歌うのに中島美嘉さんの繊細な歌声がよく合っている。全体にゆったりと流れるバイオリンの音色が幻想的で、何度リピートしても飽きることなく聴きまくった。収録されている「沙羅」も「月の沙漠」も、それまで慣れ親しんできた音楽の曲調とは違う、アジアンテイストとはこれなのか、と感動した。

 そして、このミニアルバムには「雪の華」の別アレンジも収録されている。silent versionということで、静かな曲調となっている。好きな曲が、また違った素敵さで帰ってきた! それがまた嬉しくて、購入してから十年以上経つというのに、いまだに繰り返しこのミニアルバムを聴いている。

 

 この間もふと、ぽっかりと空いた空間を埋めるような曲を聴きたいなと思って、このミニアルバムを聴いた。青春ど真ん中に買ったからなのか、このCDの世界観からなのか、空いた空間が白銀で覆われるかのような幸福感に包まれた。

 うん、このミニアルバム、大好きだ。

 いまはCDを手にいれるのは難しいのかもしれないけれど、一曲だけの購入じゃなくて、CD全体を聴いてほしい。このCDファンである私は、そう思うのだ。