島田裕巳『「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く』

 出雲大社が好きで、三十年程生きている間に四〜五回参拝している。何がそんなに私を魅了しているのか。それは出雲大社の佇まいだったり森との調和だったりいろいろと理由はあるのだけれども、やっぱりそこに祀られている大国主命の伝説が面白いと思うから。

 『古事記』をちゃんと読んだのはいつだったか。それまでは興味はあるものの断片的な話しか知らなかった。天照大神素戔嗚尊といった神様が存在するのだとは知っていたけれど、それぞれの神がどういう関係なのかまでは理解していなかった。『古事記』を読むことでそれらの関係性がきちんと整理されて、個々の話が記憶に残るようになった。

 神々の関係や物語をきちんと把握できて、面白いなと思ったのが大国主命だ。兄たちにいじめられても生き返り、多くの奥さんと結婚し子供を作り、一所懸命に統一したと思ったら今度は国を譲れといわれ、そして幽冥の世界を支配することとなった大国主命。波乱万丈である。その大国主命の隠居先が、出雲大社だ。

 なので、日本の宗教の本を読むのが好きで、特に出雲大社のことが書いてあったりすると嬉々として読む。今回は講談社現代新書で刊行された島田裕巳さんの『「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く』を読んだ。

 本書を書店で見つけたとき私の心を惹きつけたのが、帯の出雲大社拝殿の大注連縄の写真である。あの巨大な注連縄をちらりと見かけてしまったからには、買わねばならぬ。ありがたや〜と思いながらレジに行った。

 

 この本の主題は、日本人の神とはどういったものなのか? だ。本でも指摘されているように、日本の神は祟る。祟るから祀る。そこから歴史を経るごとに変質してきている。そのことをとてもわかりやすく書いてある本だった。

 私のお気に入りは、やっぱり第五章の出雲大社大国主命出雲国造の部分だ。出雲大社の不思議さは、いろいろな本を読んでも飽きることない魅力に溢れている。それと、八幡信仰は言葉でしか理解していなかったから、こういう風にして信仰がされていったのだと知ることができたのは興味深かった。

 そして、天照大神の存在というものの考え方が少し変わった。天照大神といえば、やっぱり天の岩戸の話が一番に思い浮かぶのだけれども、武神としての側面はあまり印象になかった。けれど神話の中では素戔嗚尊を迎えるにあたって武装はするは、大国主命に対して国譲れと言うわ、結構ムチャな神様だったことに気づかされた。

 

 この本を最後まで読み終えて思ったことは、この先、私たちの神はどういったものになるのだろうか、ということだ。金持ち社長さんが自分を祀る神社を建てて、ちゃんとお参りしないと祟るぞ〜と社員を脅すような神社ができたりするかもしれないし、漫画やアニメのキャラクターたちが生き神様のように神社に祀られたりするかもしれない。それがいいことなのかどうなのかは置いといて、日本の神はまだまだ進化をする余地があるように思うのだ。