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坂本司『アンと青春』

 前回ブログに書いたように、坂本司さんの『和菓子のアン』の続編『アンと青春』を読んだ。好きな小説のシリーズって、ついつい夜更かししてでも読んでしまう。今回も前回に引き続き、美味しそうな和菓子に囲まれていたけれども、タイトルに「青春」とあるように、青春小説のような悩みや恋も描かれていてドキドキした。

『アンの青春』は『和菓子のアン』で描かれていた内容とは、少し変わってきているように思う。今回の続編を読んで思ったことは、「私自身、仕事をするってどういう風に考えているんだろう?」というものだった。

 主人公のアンちゃんは高校卒業後、小説の舞台である和菓子店「みつ屋」でアルバイトとして働いている。アルバイト、という立場から自分の身の振り方やこれからを真剣に考えるアンちゃんの素直な姿に、考えさせられたのだ。

 

 私の就職は、なかなかのひどいものだった。

 リーマンショックによる就職氷河期のときの就職組だったので、まず正社員を募集しているところが、限りなく少なくなっていた。せめて都会の大学にでも行っていればよかったのだろうけれども、お金の問題や私の勉強の出来足、それに私が田舎に憧れがあったということもあって、山口県という本州の端っこの大学に入学卒業した。だから、田舎はただでさえ就職先が少ないというのに、リーマンショックによってもっともっと少なくなって、希望の就職先がなかったし、正社員になれなかった。

 スタートのときに正社員になれないっていうのは、人生の半分くらい就職に失敗したようなものだ。仕方なしにパートで働く日々が数年続いた。気がつけば、パートから正社員になろうとしても、年齢制限という枠があって、パート先での就職はできなくなった。やっとこさ転職してみれば、ひどい職場環境で、身体的ダメージが大きくやめることとなった。

 ありがたいことに旦那さんに拾われて、現在パートで働いているが、いつか正社員になれるのか? と問われると、疑問だ。だって、履歴書の欄にはパートの時間が長く、正社員であった期間はとても短い。採用者からみれば、「なんで新卒のときに正社員にならなかったんだ?」と、私が正社員になりたがらない人間のように感じるだろう。言う人なら、「それは自分の努力が足りなかったからじゃないのか?」と言うに違いない。確かに、希望通りの就職を強く望んでいたのは事実だけど、どうしようもなかったのも事実なのだ。

 だから、『アンと青春』を読んで、考えてしまうのだ。「私は、仕事をする、ということをどう考えているのだろう?」

 悲しいことに、私はもうアンちゃんのようにピチピチの十八歳ではないし、みんなにぷにぷにしてもらえるような愛されキャラじゃない。色々な面でおばさんになってしまったのだ。でも、アンちゃんの悩みには共感するのだ。たいして特別でもない、人に誇れるようなことをしてきたわけでもない、ただなんとなく流されて生きてきただけ。そういう気持ちに、すごく共感する。

 

『アンと青春』は『和菓子のアン』よりももっと、仕事をする、ということを掘り下げている。その、仕事をする、ということを、私自身もっと真剣に考える時期に来たのかもしれない。

 

アンと青春 (光文社文庫)

アンと青春 (光文社文庫)