天宮さくらの趣味棚日常

天宮さくらの好きなもの、知ったことを紹介中

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖〜扉子と不思議な客人たち〜』

 はじめて手にとったのは、シリーズが開始してから第三巻が発売された頃だった。

 三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖』。

 面白い本の小説がある、と知り合いから聞いて、試しに読んでみるかと買ったのだ。表紙の越島はぐさんの絵も綺麗で、心惹かれたのも理由のひとつ。いわゆるライトノベルかな? と思ったら、ファンタジー小説ではなく、事件ものでびっくりした。

 実際に読んでみて感じたことは、まるで空気や水、それも澄んでいてとても綺麗、のような小説だなということだ。それは三上延さんの文章のなせる技、なのかと思う。古書なんて埃っぽくって汚くって、手にとって読んでも内容が頭に入ってこないなんてことが往々にしてあるけれど、そういう忌避を払拭するような綺麗さがある。ずっとこの文章を読んでいたいな、と思いつつも謎を解明したくて手が止まらない。

 そこに描かれている謎は、人の強欲さが滲み出ている。綺麗な文章なのに、その欲が隠さず描かれていて、ぞくっとする。そこがこの小説の魅力なのだ。もちろん、ビブリア古書堂店主の栞子さんのキャラクター的可愛さも魅力なのだけれども。

 

 七冊目にしてビブリアシリーズは一旦幕引きとなったのだけれども、番外編を書く予定だというあとがきを信じて待っていたら、今年の秋に八冊目が出版された。『ビブリア古書堂の事件手帖〜扉子と不思議な客人たち〜』だ。あとがきに書かれていたように、確かにこれは番外編。一巻から七巻、そして八巻までの間に起こった、小さな事件を丁寧に描いている。シリーズファンとしては嬉しい限りの一冊だった。

 そして、本書のシリーズを読むたび、事件の発端となった古書たちに、ものすごく興味関心を抱いてしまう。今回も、佐々木丸美さんの『雪の断章』を読んでみたいなぁとしみじみ思ってしまった。こういう風に、自分が知らなかった本に対して、こんな本があるんだよ、と紹介してもらえるのは、自分の選択肢が広がるキッカケになるので、ありがたい。いつか読んでみたいと思う。

 

 あっという間に読み終えてしまい、思ったことが、次の巻は出るのだろうか、だった。七巻でシリーズに一区切りし、八巻で新シリーズがスタートしたのだと考えていいものかどうか。是非、新しい話を読みたい。