『暗幕のゲルニカ』原田マハ

 去年の夏の文庫フェアで原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』を購入することを決めていた。なぜなら『楽園のカンヴァス』で私の美術に対する姿勢を変えてくれた原田マハさんなら、きっと本書でも新しい気づきをくれるだろうと思ったからだ。

 けれど長編小説を読むタイミング、というのはよくよく考えなくてはならない。タイミングを間違えると、一気に全部読めなかったりするし、夜更かししすぎて体調を悪くしてしまうこともある。去年の夏は暑さが半端なくて、なかなか読書気分にもなれず、ずるずると読めずに置きっ放しにしていた。

 そして読むタイミングを、年末年始にようやく確保できた。

 

『暗幕のゲルニカ』は、911テロそしてイラク攻撃へと移行する現代と、パブロ・ピカソが「ゲルニカ」を描いた時期との話が交差しながら物語が進んでいく。購入したとき、帯に「「ゲルニカ」を消したのは、誰だ?」と大きな文字で書かれていたので、そういう話なんだろうと思ったら違った。この帯書いた人は小説を全部読まなかったのだろうか?

 正直、好きな小説かと聞かれると微妙である。「好き」というよりは「第二次世界大戦って大変な時代だったんだな」と思う。「ゲルニカ」を貸し出せるのかどうかよりも、その後の「ゲルニカ」の歴史が気になってしまって、正直現代の話は途中からどうでもよく………げふんげふん。けれど、芸術作品のもつメッセージ性、というのは本当にすごいのだと教えてくれた。そういう点で、芸術作品を見る目を養ってくれた小説だと思う。

 

ゲルニカ」の原寸大の作品を大塚国際美術館で見た。明るい廊下にドンと置かれていた。私はそのそばに立って、じっと見た。見たときはまだ『暗幕のゲルニカ』を読んではいなかったけれど、悲惨な様子が伝わってきた。

 第一印象は「こんなにも大きな作品だったんだ」だった。本物と同じサイズで見たからこそ「ゲルニカ」の悲劇を感じることができたのだと思う。けれどこれは本物ではない。

 いつか、本物を見に行ってみたい。

 

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)